夏の日は はしゃいだぶんだけ さびしくて 思い出のなか いつもきみがいる
紫陽花の よりそう花の そのなかの ひとつになりたい くらいのさびしさ
太陽が 空を白々 もちあげて ながくてみじかい きのうがおわる
秋晴れを よろこんでいる カリンの実 おちてかすかに においを放つ
やわらかい 果実のその実を まもるように きみはじっと そのなかにいる
空たかく 煙になって 往くきみを 仰ぎみながら 一杯の水を飲む
きみはすぐ そばにいてぼくは 満たされた きもちになったり ならなかったり
雨上がりの十月。キンモクセイの匂いに少したちどまる。
キンモクセイが雨にとけてわたしの体を包んだ。
そして、歩き出してもわたしはわたしのままだ。